カントリーマネージャーへの扉を開いてくれたMBA

CircleCI Japan 森本健介

今回は、CircleCI Japanの立ち上げ当初からカントリーマネージャーを務める森本健介さんです。
思い通りに行かないことがあっても、目標を見失わずカントリーマネージャーとして働くまでの経緯をお話いただきました。

CircleCI Japan 森本健介

プロフィール:CircleCI Japan Country Manager 森本健介氏

立教大学卒。Cisco JapanからCisco Singaporeへ異動し、ASEAN全体の日本マーケット立上げ及びパートナー戦略を担当。Singapore在籍中にINSEADに留学しExecutive MBAを働きながら取得。その後、サンフランシスコ発のオンライン決済のスタートアップ Stripe で日本のグロース責任者をやった後、CircleCIにカントリーマネージャーとして入社。日本の立上げを行い日本ビジネス全体のマネージメントをすると共にAPACマーケット立上げも現在実施中。
Twitter: @kemorimo

CircleCI:https://circleci.jp/

CircleCI は、2011年サンフランシスコで創業した、ソフトウェア開発者向けの世界最大規模のクラウド CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デリバリー)サービスで、より良いコードをより速く、簡単にリリースすることを可能にしています。
メルカリ、Facebook、CyberAgent、DeNAをはじめ、数多くの企業が開発の効率・品質向上のために CircleCI を選んでいます。

留学のきっかけと就職活動

ー森本さんは立教大学を卒業後、シスコジャパンに就職されたんですね。

はい。シスコジャパンに入社し、その後ASEANのマーケット立ち上げのためシスコシンガポールに赴任し、最終的にシスコジャパンを辞めてシスコシンガポールに転職しました。その後シンガポールで働きながらMBAを取得し、縁があって今はスタートアップのCircleCIで働いています。

 ー森本さんが海外や留学を意識したのはいつ頃だったんですか?

大学で物理学科だったんですが、物理にそれほど興味がわかず、この領域で仕事をしていくのは困難だと感じたんです。今後どうしていこうかと考えても答えが見つからなかったので、とりあえず英語はやっておこうかと。

大学に入った時点では英語はお世辞にも得意ではなく、「アイハブアペン」レベルだったので(笑)。それで、大学2年の時に仲の良い友達を誘って語学留学に行ったんです。まったく喋れないので、とりあえず海外の雰囲気を楽しむという、まあお遊びみたいなものです。その時の語学学校の名前も覚えてないくらいですが、楽しかったという記憶はあって。

帰国後何か月か時間がたって、やっぱりちゃんと留学して英語を勉強しようという思いが強くなってきて、大学3年生の時に1年間休学してカナダに語学留学に行きました。

 ―それまではそんなに海外を意識してなかった?

海外そのものに興味があったわけではありません。

英語の話ではないですが、自分は中学1年生からサッカーを始めて、周囲は幼少期からサッカーをしている子ばかりでした。どうやったら最短最速で上手くなれるかということを常に考えて、ブラジルにサッカー留学に行ったんです。それが最短最速だと思ったから。

それと同じ発想で、ビジネスには英語が必要だから、英語を習得する最短最速の方法は海外に行くことだと考えたわけです。

語学留学からの帰国後も英語の勉強を続けていたので、就職も英語を使う環境がいいなと思って最終的には外資のシスコジャパンに就職を決めました。

ー就職活動も外資中心で?

いえ、IT企業に絞って活動していました。SI、事業者、外資ベンダーなどを幅広く受けて、シスコから内定が出たのでシスコに決めた感じです。

 ーやはり大企業中心に?

はい。完全に大企業ばかりでしたね。当時は大企業でイケてると言われる企業に行きたくて、ITの有名企業で外資という条件が合ったのでシスコに。
それからシスコジャパンには7年在籍し、ずっと営業を担当していました。

ーシスコジャパンの仕事では英語を使うことは多かった?

ほとんどなかったです。シスコジャパンの社員は1,000人以上いますし、社内ドキュメントもしっかりした日本語でした。なので、営業も日本語のものを読んで日本語のスライドを使ってプレゼンする感じで。

たまにニッチな製品だと海外と使用確認のメールやビデオカンファレンスなどもありましたが、基本的にはほぼ日本語でした。

CircleCI Japan 森本健介
(留学時代の写真 森本氏提供)

転職かMBAか 

ーシスコジャパンから海外に行った経緯を教えてください。

シスコジャパンに入社して4、5年経った頃には他の人が売れないような製品も自分の営業でアジアで初めて買っていただいたりして、営業はそれなりに学びきった感じがありました。その反面、当初期待していた英語はほとんど使っていなかったので、今後のキャリアを考えれば海外のMBAに行った方がよさそうだということを考え始めていました。

 ―ちょうど転職を考える時期ですね。

そうですね。転職するか、MBAに行くかで最初は迷いました。実は転職活動もしていて、あるスタートアップのカントリーマネージャーのポジションで内定が出ていたんです。けど、自分がいたのは超大企業だし、いきなり小さな会社のカントリーマネージャーになっても失敗すると思ったのでそのオファーは受けませんでした。

そのスタートアップを受けたのは、特にスタートアップに行きたいとかではなくて単にエージェントが紹介してくれたからです。まだ営業以外の経験も足りなかったし、ビジネスの全体像を学びたいと思ったので、結局MBAを目指すことに決めました。

ーその後、MBAより先にシンガポール赴任されてますよね。

MBAの勉強を初めて1年くらい経った頃にシンガポールの社内公募があったので、それを受けて、受かって行った感じです。
ASEANには日本企業が多数進出しており、そのマーケットを開拓するというミッションでの赴任でした。

―そこではもちろん英語を使いますよね。

 はい。苦手でしたが、気合いで乗り切りました。シンガポール赴任が決まる前に社内公募の試験でインタビュープロセスが5回あったのですが、面接官が外国人の時は完全にスクリプトを暗記して、どんな質問が来ても柔軟に対応できるように想定問答も暗記し、自分の得意な話に落とすという方法で面接を全てパスしました。日本にいた時には英語のプレゼンもしたことなかったし、英語力もそれくらいのレベルだったので、英語で営業活動をするのはとにかく辛かったです。

それでも海外に飛び込んだのは、今後のキャリアを考えると自分を変えたかったからです。英語が基本の環境で、且つ日系企業ではない環境で働きたかったので、シンガポール赴任は飛びつかない理由がないくらいのチャンスでした。

ーだけど、社内公募だから日本帰国のリミットはあるわけで。森本さんは日本に戻らない決断をしたんですね。

1年終わろうとしていた時点でまだまだやりたいことがあったし、日本に帰国してまた同じ仕事をやりたくもない。このまま新しい挑戦をシンガポールに残って続けたいと思ったので、シンガポール法人に残るための社内転職活動を始めました。シスコシンガポールではどのポジションに空きがあるのかを自分で探して、マネージャーと直接交渉して、内定をもらってからシスコジャパンを辞めました。裏技的ルートを切り開いた感じですね(笑)。

正式にシンガポールの社員になってからは、働きながらMBAを取ることに決めました。MBAはインシアード(https://www.insead.edu/)が良いと思ったのでそこしか受けませんでしたが、結果は無事に合格。インシアードに通った1年半は、仕事と学校とネットワーキングで本当に大変でした。

ーもし、転職活動が上手くいかずMBAだけ受かっていたらどうしてましたか?

他の会社を探すなりして、何とかシンガポールに残っていたと思います。自分はシンガポール行きを決めた時に、英語圏にある外資で英語を使ってチャレンジをしたいと思っていました。日本にいると日本人というアドバンテージがあるじゃないですか。そういったものなしに挑戦したかったんですね。だから、日本に戻る選択肢はありませんでした。

 ―仕事しながらMBAに通っている間は、どのような生活だったんですか?

働きながらの人が前提のMBAだったので、毎日通う感じではないんです。その代わり、月に1回程度4-5日間通して授業があります。水木金土日だったり、木金土日だったり。この日だけは仕事を休んで授業に行きました。授業はもちろん丸一日です。それ以外の日はスクーリングもないので、仕事が終わってリーディングや宿題をやっていました。多忙でしたが、周囲も皆働きながらMBAに通っていたので、刺激をもらえてよかったです。

CircleCI Japan 森本健介

人生初、スタートアップの世界へ 

ー森本さんがスタートアップを意識し始めたのはいつ頃なんでしょうか?

MBAに通い始めてからですね。同じクラスにスタートアップで働いている人や、大企業に勤めていたけどMBAの最中に辞めて起業を目指し始めた人がいて、一般的に成功していると言われるような人があっさり大企業を辞めてスタートアップをやり始めちゃうんだ、という刺激を受けたのが最初でした。

 あと、これはあまり知られていませんが、インシアードは起業についての授業が強いんです。そうした授業を受ける中でスタートアップは面白そうだなと思うようになって。

これまで転職先の選択肢としてスタートアップが上がってきたことはありましたが、実際に働いている人やファウンダーに会うのが初めてだったので、スタートアップが一気に身近なものになりました。

シスコに残るよりも他の道を選んだ方がよさそうだと思い始めたので、MBAが終わって半年ほどした後にシスコを辞め、シンガポールと日本の両方でスタートアップの仕事を探し始めました。

―そこで、ストライプと縁があったわけですね。

はい。ストライプはエージェントからの紹介でしたが、その時点ですでにサービスがイケてたのと、ストライプが強みにするオンライン決済の分野は今後確実に伸びると思ったので、日本法人3人目でストライプにジョインすることに決めました。 

ージャパンだけでも社員が数千人いるシスコから、わずか3人のスタートアップにジョインすることに不安はありませんでしたか?

そんなになかったかな。ドキドキはしたけど。シスコに残っていた場合を考えた方が不安でしたね。大企業に残るリスクの方が大きく感じました。

ー実際に3人目で入社して、想定外だったことなどはありましたか?

これはMBAで学んだことですが、不確実性もプランに織り込むという考え方があります。小さな想定外はありましたが、当初から予想しない事態は必ず起きると想定していたので、そういった意味では想定通りだったように思います。

ただ、まったく知識がないままで放り出されるわけではなかったです。ストライプでは入社後に、USで3週間の研修があるんですね。ここではストライプのプロダクトについてや、サポートはどう行われているかなどを学びます。一連のトレーニングを終えて日本に戻るので、一応USではどういうことが行われているか分かるんです。

ーそれで、帰国してからどのように仕事を進めたんですか?

入社前から、マーケット分析とどういったことをどのくらいのスケジュールでやっていくかは、スライドに落とし込むくらいまで考えていました。USで入手した情報を受けて少し修正して、あとはそれに従って進めていった感じです。 自分の意思で仕事を進められるので、楽しかったですね。

―それにはやはりMBAでの学びが生かされている?

すごく生きてます。よくMBAで勉強するのは意味がないという人がいます。どこでも学べるとか、ネットワーキングだけでしょとか言うんです。私としては、勉強した内容がとても役に立ってます。

授業の内容も、講師は超一流だし、実際に起業したメンバーもいるし、学べることは非常に多いわけです。マーケティングやストラテジーの授業は、ストライプに行った後に非常に役に立ちました。特に、全体的なビジネスの仕組みやスタートアップの事業の回し方などを知識として得られたのはとても大きかったです。もしMBAに行かずにシスコから直接スタートアップに行っていたら、相当きつかったと思います。

CircleCI Japan 森本健介(Stripe時代の写真 森本氏提供)

カントリーマネージャーとしての挑戦

 ―ストライプでの仕事に不満はなかったように感じますが、そこから再び現職のCircleCIに転職したのはなぜですか?

以前よりカントリーマネージャーになりたい思っていたからです。あとはありきたりだけど、エグゼクティブたちの人柄がとてもよかったので、この人たちと一緒にビジネスを拡大させるプロセスを経験したいと思って。また、製品のマーケットがまだ勝ち組が決まってないような領域だったので、これからの成長がすごく楽しみだと思ったんです。

さらに言うと、CircleCIは日本が初めての海外オフィスで、かつ日本の売上が世界で2番目に大きかったんです。アメリカの企業で日本が世界で2番目の売上を持っているって今ではもうなかなかなくて。これはすごいチャンスだと思ったんですよね。

ーストライプの時と違って今度はカントリーマネージャーですよね。本当に0からの立ち上げは初めてだったわけで。

 何にも決まってない状態でしたね。入社前からまだ何も形になってないだろうなとは思ってましたが、本当に何も決まっていなくって。入社日にアメリカの本社に行ってCEOと打合せして、もちろんトレーニングなんてものもないので、まずはストラテジーを固めるというところから始めました。

それが固まったら、オフィス探し。オフィス探しに労力を使うのもな…と思ってシェアオフィスに入居する形になりました。他にも電話どうしよう、採用どうしようとか色々ありますが、細かな作業も特に苦になることはなかったです。

 ―0から1を創るのが好きな人にとっては天国ですね。

最高ですね。CircleCIのカントリーマネージャーはセールスだけではなくて、マーケやサポートも含めてすべて見ることができるので、全体観が把握できてとてもやりがいがあると感じています。

CircleCI Japan 森本健介

(現職の同僚 森本氏提供)

学生へのメッセージ

ー森本さんは、どのような人がスタートアップに向いていると思いますか? 

どんどん自分で進めて、トライ&エラーを繰り返し修正を加えていける人。どれだけ速いスピードで失敗して、学んで、成功できるかを常に考えているような人が向いていると思います。逆に、決まった枠の中で仕事がしたいとか、指示が欲しい人には向いていないと思います。

ー大企業からスタートアップに転職するのって勇気が必要だと思うんですが、そこはどうでしたか?

伸びているマーケットの中でさらに成長中の会社を選んだという確信があったので、不安はありませんでした。

 ーご家族の反対はなかったですか?

特にありませんでした。

 ー最後に、学生に対するアドバイスをお願いしたいです。

自分の経験を通して学んだことですが、自分から見えるキャリアの先って2歩先くらいまでしか見えないんです。シスコジャパンで営業していた頃には、外資のアジア代表になりたいという目標はあったものの、それをどう叶えるかまったくアイディアがなかった。けど、シスコジャパンの営業のマネージャーにどうなって、その先のディレクターになるのにどれくらい時間をかけて、っていう2歩先までの道筋は見える。そこからアジア代表になるまでどうしたらいいかはまだ見えないんだけどね。だから、それをずっと繰り返していくと、元々まったく見えなかったものが見えてくるんです。諦めずに、失敗して頑張って修正してというのを繰り返すのが大事です。

ーありがとうございました。

(文・編集)浅田茉美

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