留学先での出会いがきっかけになって、新たな未来が生まれていく。Homii洪氏が苦悩の末探し出した「腹落ち」する事業とは

Homii 洪 英高氏

留学先での出会いがきっかけになって、新たな未来が生まれていく。そんなダイナミックな動きを誰よりも感じてきたのが株式会社ダイバーシーズ代表の洪 英高氏だ。留学中のちょっとしたアクションから本田圭佑氏に出会うことになり、チームをビルディングすることになった苦悩を赤裸々に語っていただいた。

 株式会社ダイバーシーズ https://diverseas.co.jp/

「混ぜる暮らしで世界はもっと豊かになる」をミッションに、下宿文化をアップデートするホームシェアサービス「Homii」を開始。外国人のゲストと日本人のホストに限定して、サービスを開始したHomiiだが、将来的には、国籍を問わず、あらゆる人が「混ざって暮らす」ことを実現するサービスを目指している。

Homii 洪 英高氏

洪 英高氏プロフィール

幼少期よりサッカーに親しみ、本田圭佑の大ファン。大学在学中にトビタテ!留学JAPANという給付型奨学金制度を活用し米国留学。留学中に学生起業する道を選ぶ。本田圭佑氏の出資を経て事業を拡大。「Homii」を運営する株式会社ダイバーシーズの代表取締役。Twitter @SoccerKinki
*こちらの記事に書き切れなかった留学から起業までのストーリーは洪氏のこちらの長編noteをご覧ください。

1.留学のきっかけ

 ―いつ頃から海外を意識し始めたんですか?

海外というテーマに興味を持ったのではなく、まず興味を持ったのはITでした。
大学受験の時にネット配信の映像授業を受講していたこともあり、その技術にも感心したし、IT技術が世界を席巻することになるということを感じていました。
大学に入ってさあITの世界に行くぞとなって、ITの最先端について知るならアメリカだろうという発想で海外に行くことにしました。単純に、その時興味を持ったのがITだったから「ITの本場と言えばシリコンバレーでしょ」という発想です。だから、興味を持ったのがITでなかったらシリコンバレーはもちろんのこと、留学自体に全然興味なかったかもしれないですね。

 2.留学時代と最初に生まれたサービス、本田圭佑氏との出会い

 ―洪さんは大学に入って結構すぐにシリコンバレーを訪問してますよね。

大学1年のゴールデンウィークだから入学して本当にすぐです。それまでPCをまともにいじったこともなければ海外旅行にも行ったことがありませんでしたが、航空券だけとりあえず買って。

シリコンバレーではGoogleのオフィス見学もさせてもらって、これはとても強烈な体験でした。様々なバックグラウンドを持つ人たちが「テクノロジーで世界を良くする」という共通の目標を持って働いている。自分は在日韓国人で差別に悩んだこともあったけど、国籍なんて小さな問題で悩んでいたことがとてもちっぽけに感じて。ただただ感動して、「必ずここに戻ってくるんだ」と誓いました。

そして帰国して本格的な留学の計画を練っている時に「トビタテ!留学JAPAN」というプロジェクトを知り、大学2年の3月頃に応募して6月に合格が決まったんですよ。それから留学するまでの間はProgateというプログラミング教育の会社でインターンして、大学3年生の2月頃にアメリカに旅立ちました。アメリカ行きのギリギリまでインターンをしてた。

 ―それから、最初のサービスが立ち上がるんですね。

はい。まだHomiiではないんですけど。留学生向けのサービスを作ろうとしました。その時は戦略とか目標とか何もなくて、趣味の延長みたいな感じでスタート。ボスキャリに合わせてリリースしたんだけど、軸がしっかりしてないからだんだんブラブラし始めて、これでいいのかってなって…。

その時やってた事業が日本語のサイトで、なんでアメリカにあるのに日本にいてもできるようなサービスやってんだろうという引っ掛かりがあって、これじゃ留学してる意味もないぞと思って、大学4年の4月くらいにとりあえずその時のサービスを英語化しました。

でもサービスの本質は変わらないから、英語化しても誰も使ってくれないという状況は変わらず。

アメリカでしかできないことって何だろうと考えた自分は、じゃあアメリカ一周しようという発想になり、そのアメリカ一周が終わりかけの頃にゴール近くでTwitterを通じて本田圭佑さんと出会いました。奇跡ですね。ここから話がどんどん進んでいきました。

最初のサービスのサイト。 洪氏のnoteより

―それで本田さんがいるメキシコまで行って。

LINE教えるから事業計画書送ってと言われて、返信が来て。あんまり時間ないけどメキシコで会えるって話になり、メキシコでは結局1週間行動をともにしてた。
圭佑さんに会って起業するって決めて、日本に帰国しました。

帰国当時はお金が潤沢にあるわけではなかったので、オフィス兼シェアハウス兼Airbnbで固定費を節約する為にチームメンバーも一緒に暮らし始めました。中には一緒に住むことがきっかけの一つでうちの会社で働き出したメンバーもいます。
またメンバーの1人Marcusは以前自分がシリコンバレー留学時代にスタンフォードの大学で居候した時の部屋主でした。当時お金がなかった自分にとってシリコンバレーで家を持つことは大変で、居候することによって助けられました。それだけでなく、彼とは今一緒に仕事することになってます。
結果論ではありますが一緒に誰かと住むことで、新しい関係が生まれる。Homiiのアイデアは人と一緒に暮らしたこれらの体験が大きく影響しております。

3.Homiiが生まれるまでの葛藤

 ―事業の方は順調に?

全然。資金ショートしかけてギリギリで追加出資してもらって命永らえたけど、事業はピボットせざるを得ませんでした。ピボットすることは決まってるけど、何やるかは決まってない状態。みんなで毎週頭突き合わせてアイデア出しを続けました。それを4週間くらい続けると本当に辛くなってきて。先のこと分からないからToDoが何もない状態ですよね。モチベーションが全然上がらない。そんな中でメンバーが一人辞めたいって言いだして、そこからアイデア本気で探そうと必死になりました。

ToDoが何もない状態はやばいっていうのが自分の中にあって、本当は腹落ちしてないけどとりあえず外国人向けのビザサービスを始めて、とりあえず仲間にはそっちの仕事を任せました。自分はアイデア探しに、人に会ったり話聞きに行ったり奔走。

 ―その時にHomiiが生まれた?

 はい。オフィスで普通に仕事してるときにいきなり閃いて、急に自分の経験とかタイミングとかがピーンと繋がるタイミングがあった。辞めるって言ってた仲間に食事しようって話を取り付けて、「こんなアイデア思いついたんだけどどう?」って打診したら残るって言ってくれた。みんなこのアイデアについてはポジティブだった。それは共有する原体験があったからだと思う。

オフィス兼シェアハウスの経験、留学生として海外にいたという経験。一体感がすごいあってそのまま突き進めそうなんだけど、最初の留学サービスと同じ失敗をしないために今度は情報収集というか、ヒアリングから手堅く始めました。

 ―それはヒアリングの外部サービスとかを使って?

自分たちでその辺の不動産屋に行って話を聞きました。そしたら、外国人の賃貸事情って結構ひどいんですよね。外国人数十人に聞いたらみんな部屋探しがしんどいと感じている。

ホスト側のヒアリングはビザスクとかを使って、Airbnbのホストでも本当は長期で滞在してほしいと思ってる人が結構いることがわかりました。「このアイデアはいける」と確信があって、みんなとこのアイデアをもっとビルドしていくという意思決定をしました。

 ―どんな世界観?

もうHomiiの原型が完成してたんですけど、世界観としてはただのホームステイではなくて、ホームシェアリングとか下宿っぽさみたいな感じですね。

外国人のゲストと日本人のホストに限定して、サービスを開始したHomiiですが、今年中に、国籍を問わず、あらゆる人が「混ざって暮らす」ことを実現するサービスへと進化させていきます。つまり、日本人のゲストが日本人ホストや外国人ホストのおうちに入居することが可能になります。今では、自分自身も「人の家」に住んでいます。

総合的に見て便利で暖かくておすすめです!例えるなら、従兄弟の家に住んでいるようなイメージです。 日本人ゲストの募集もクローズドで受け付けるので興味ある人は僕のツイッターにDMください。すでに複数人入居決まっています!

自分は、これがあれば生活がちょっとよくなるというサービスは腹落ちしなくて、誰かの人生を変える経験につながるようなことがやりたいので、Homiiはそれにバッチリはまったサービスでした。

(Homiiのサイト)

―やはり腹落ちするっていうのがポイントだったんですね。

自分がどういう時に腹落ちするのかをとことん掘り下げたのがよかった。

最初に始めた留学のマッチングサービスも自分にしか見えてないものがあってすごい腹落ちしてたから、サービス作りがめちゃめちゃ楽しかった。そこから急に会社になって、事業化させなきゃいけないわけです。身近な友達にそれと似たサービスをやってる人がいて事業化のためにマネしていたら、「あれ?自分がやりたいのってこれだっけ」と分かんなくなって。エージェントで手数料を稼ぐようなモデルで、自分がやりたいのはそこじゃなくてCtoCのプラットフォームなんだよな、と気づいた。だからAirbnbみたいなのはすごく腹落ちする。

それから自分が腹落ちする条件を9つ列挙して、それに合うサービスづくりを進めました。条件っていうのは自分の原体験があるとか強みが生かせるとか。これらの条件とタイミングを兼ね備えていたのがHomiiだったというわけです。

 4.学生さんへのメッセージ

 ―実際の留学生活はどうでした?準備の面とか。

 大学1年でカリフォルニアに行ったのは勢いだったけど、その後のトビタテ!留学JAPANの時にはちゃんと準備して行ったつもりでした。英語とかプログラミングを日本でしっかりやって。結局それでも足りない部分はあったけど。時間的な制約もあったのでできる限りの準備はして行ったのかなと思います。

ひとつアドバイスがあるとすれば、情報収集はしっかりしとくとよかったなと。例えば別にアメリカじゃなくてヨーロッパという選択肢もあったかも。お金の準備ももっとしっかりできたかもしれないし、違う大学や違う生き方の選択肢もあったかもしれない。

留学して最初の頃は家もなかったし、貧乏だったし、大学も忙しかったし、インターンもしてたから色んなことに忙殺されて本来やりたかったことと全然関係ないことしてるなって思って。なんか、あんまりチャレンジャーな留学生じゃなかったですね。

―留学を通して得られたことってどんなことですか?

 最初のサービスを作ったその時に初めてリーダーシップをとる経験をした。それまでは受験みたいな個人戦しかなかったから。仲間を巻き込みながら1つのものを作るって本当に大変です。たくさん失敗して、すごい文句も言われた。その経験が今でも生きています。

もう1つは、純粋に自己実現に向けて動けるようになったことですね。ずっと憧れだった圭佑さんに会うことができて、出資が決まった時に「自分がやってきたことって周囲から反対されることもあったけど、間違ってなかったんだ」って。まだまだ何も成し遂げていない自分ですが、進む方向を応援してくれる人を見つけたのは大きかったです。

そうすることで、これは3つ目ですけど、それまでずっと抱えていた承認欲求の呪縛みたいなものからも離れることができたのがよかったです。だから、今は純粋に自己実現のために進んでいくことができるようになりました。

 あと留学中の経験が会社に生きているところとしては、すごい透明性を重視してるということ。留学中の事業では過去のデータを何も残してなかったし、大事なことをDMで決めちゃって当時の仲間からから反感を買うみたいなことがあって、不信感がたまっていった結果仲間が「辞める」って言い出したこともあったんです。だから、今は何でもオープンに語るように組織づくりをしています。

 ―スタートアップで働いたり、起業したりって怖くありませんでしたか?

 まず起業とスタートアップで働くとでは大きく異なるのですが、起業の場合怖いと思うならやめといた方がいいと思います。反対されてもやるような人じゃないと多分うまくいかないと思うんですよ。その状態では無責任に薦めることはできないですね。
でも、大変だけど、夢を実現したいなら一緒にがんばりましょう

一方でスタートアップで働くだけなら、今後のキャリアに影響するかもとか潰れるかもとか考えずにやりたいことをやるといいんじゃないかなと思います。働いてみて見えてくることが多いと思います。

―本日はありがとうございました。

(文・編集)浅田茉美(取材・写真)納富 隼平

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