一流の場所には一流の人材が集まる。スタンフォードで気づいた一番にこだわる理由

「Oh My Glasses(オーマイグラス)」を運営する、オーマイグラス株式会社の清川社長

日本最大級のメガネ・サングラスのオンラインストア「Oh My Glasses(オーマイグラス)」を運営する、オーマイグラス株式会社の清川社長は、3度の留学を経験。中でもスタンフォード大学のMBAは、氏の人生、起業経験に強烈な影響を与えた。スタンフォードで気づいたことや、一番という環境にこだわる理由を清川氏に伺った。

「Oh My Glasses(オーマイグラス)」を運営する、オーマイグラス株式会社の清川社長

オーマイグラス株式会社 代表取締役社長 清川 忠康

UBS証券、経営共創基盤を経て、スタンフォード大学経営大学院に留学。在学中に米中のスタートアップ企業の経営に関わり、2年次在学中に株式会社ミスタータディ(現オーマイグラス株式会社)を創業、代表取締役に就任。

スタンフォードに行きたくて、3度目の留学を決意

ーー清川さんは3回アメリカに留学していますよね? それぞれの目的はなんだったのでしょう。

1回目は大学在学中に語学留学、2回目は大学卒業後にインディアナ大学大学院に、3回目は27歳のときにスタンフォード大学のMBAに留学しています。

父が海外の大学に通っていたこともあって、もともと海外留学には興味があったんです。それで大学在学中に語学留学しました。大学時代から経営やMBAに興味はあったので、後に通うことになるスタンフォード大学のMBA説明会などに遊びに行ってたんです。MBAなのでまわりは社会人だらけの中、学生ひとり交じって(笑)。

一旦帰国したのですが、語学留学ってまわりにいるのはアメリカ人からみて全員「外国人」なわけです。そうではなくてアメリカ人や、彼らと一緒に切磋琢磨したいなという気持ちがありました。それで大学卒業後にまた留学することにしたんです。

なので留学がありきで、何か学びたいことがあったわけではないんですよね(笑)。結果的に会計学やファイナンスを専攻したのですが、それはビジネスには関心があったものの、その時点では職歴がなかったので、のちのちに役立ちそうなものを選んだんです。結果的にはよかったですけどね。

通常は1年で修了するコースだったのですが、大学院だけではなくインターンなどをやったり他学部の講義も履修していたので、1年半かけてインディアナを修了しました。

アメリカに留学している日本人はボストンキャリアフォーラムで就職活動をする方が多いと思いますが、私もその一人です。そこでUBS証券から内定をもらって、1年ほど務めました。

ーーUBS証券から経営共創基盤に参画されていますよね。

経営共創基盤は代表で創業者の冨山和彦さんが有名ですよね。彼はスタンフォードの卒業生です。先ほどスタンフォードの説明会の話をしましたが、そのときに卒業生として登壇していたのが冨山さんだったんです。当時はまだ産業再生機構にいたときで、露出も少なかったはずですが、「この人はすごい」と感じていました。

「Oh My Glasses(オーマイグラス)」を運営する、オーマイグラス株式会社の清川社長

そして数年後、経営共創基盤を設立。縁があって面接を6、7回もしていただいて(笑)、当時まだ設立したばかりの経営共創基盤に参画しました。正直に言うと、前職が投資銀行だったので給料もだいぶ下がりましたよ。転職に伴い引っ越しして、自転車通勤するようになりました。

ーー給料がかなり下がって、自転車通勤してまで転職したのはなんでですか?

冨山さんの近くで働くのは面白そうだと感じましたし、なにより設立したばかりのベンチャーというところにも魅力を感じたからですね。貴重な体験ができると思いましたし、実際楽しかったです。

ーー経営共創基盤を経て、スタンフォード大学のMBAに留学されていますよね。そこまで魅力を感じていた会社を辞めたきっかけを教えてください。

入社したときは、ここに何年いようとかすぐ辞めようとか、っていうのは全然ありませんでした。忙しくもあって留学のこともしばらく忘れていたくらいです。ただ仕事の内容的に海外に関する案件が多くて、そうすると自然に留学のことなんかも考えるわけです。

ーーインディアナにも行ったし、もう十分ではなかったのですか?

むしろ逆ですね。やはりビジネスや起業のこというと、ハーバードやスタンフォードが一番。ことスタートアップとなれば、やはりスタンフォード。心の奥底にはスタンフォードに行って学びたいという思いがありました。

海外の情報に触れているうちに、またスタンフォードのことを調べるようになりました。一度留学していることもあって、英語は問題ないし、ちょうどその頃スタンフォードも、入学者が若くなっている傾向があったんです。そこで思い切ってチャレンジしてみたら、合格。正直もっと経営共創基盤で働きたいという思いもありましたが、スタンフォードに留学することにしました。

視座が上がる一流の環境

ーー憧れのスタンフォードに行ってみて、いかがでしたか?

スタンフォードに行って一番よかったと思うことは、まわりの人間がめちゃくちゃ優秀だったことです。彼らに囲まれたことが一番よかったですね。

卒業後、結果的にユニコーン(編注:企業価値10億ドル以上のスタートアップ企業で、大きな企業か否かの目安)を創業した人もいるし、ユニコーンの初期メンバーもいます。私は元Google CEOのエリック・シュミット氏の講義を受けていたのですが、隣の席はすでにIPOを果たした人でした。教壇に立つのも一流の教授やスタートアップ創業者ばかり。

よくある話ですが、そんな人達に囲まれていると、自然と視座が上がります。「こいつでもこんなに成功するんだから、オレもできるだろう」という気になるんですよね。

「Oh My Glasses(オーマイグラス)」を運営する、オーマイグラス株式会社の清川社長

あと、かなりレベルが高い方々が壇上に上がっていたわけですが、あれぐらいの人になると語ることが原則論になってくるんですよ。たとえば「競争環境が激しくなると、競合に目がいってしまうけど、本当に大事なのは自分たちのプロダクトだよ」っていう話をするのですが、そんなの当たり前な気がするじゃないですか(笑)

でも実際にスタートアップを経営していると、実際にはめっちゃ競合が気になるわけです。そういう時には彼らの言葉を思い出して、プロダクトに集中しよう、と心を入れ替えるんです。

ーースタンフォード留学から帰国して、すぐにオーマイグラスを創業していますが、スタンフォード時代に思いついたアイディアだったんですか?

そうですね。

「Oh My Glasses(オーマイグラス)」を運営する、オーマイグラス株式会社の清川社長

オーマイグラス オンラインストア

今でこそ日本でもD2C(ディートゥーシー、Direct to Consumer)という言葉が広まってきましたが、もともと物販には興味があったんです。スタンフォードの講義でもD2Cの先駆けとなったBonobosやそこに投資しているVC(ベンチャーキャピタル)とディスカッションする機会があったり、すでに事業展開しているD2Cや、VCなどにも積極的に会いにいきました。

ーー学生相手でも時間をとってくれるんですね。

そこがやっぱりスタンフォードのいいところだと思います。スタンフォードの学生の起業率や成功率を知っているから、スタートアップやVCも時間をくれるんですよね。これはほかの大学や、普通の日本企業では難しいところなのかなと思います。

個人がエンパワーされる時代のキャリア

ーー日本で創業することにした経緯を教えてください。

福井県の鯖江はメガネの産地として世界的に有名な地域です。自分は当然日本人で地の利があるし、メガネを商材にすることは決めていました。スタンフォードの2年の途中からVCと資金調達の相談をしていたのですが、それが2011年の話で、ちょうどそのときに日本で震災があったんです。

じつは最初はアメリカで起業するつもりで、実際に会社も作っていまいた。でもそもそも商材が日本にあるし、アメリカでやろうとしてるのって「格好つけてるだけだな」と思っちゃって。それで日本に帰国してミスタータディ(現オーマイグラス)を創業しました。

ただ起業当初は辛かったですよ。スタートアップなんて大変なのに、モノを扱うからお金もかかる。一時期は毎日牛丼ばかり食べていました。

ーーそこまで頑張れる原動力はなんなのでしょうか…?

原動力というか、それもスタンフォード時代の経験が活きているんです。

スタンフォードの学内外には起業したてて、食べるお金がないとか住むところがないとか(笑)、そういった人がいるのは珍しくありません。ただ学内ではいたるところで起業家を囲んだピザパーティなどが開催されているので、食事は結構余ってたり、また気候が穏やかなのもあると思いますが、オフィスに寝泊まりすることも可能です。

一方で周りの人は当然蔑むわけもなく、「あいつは今チャレンジ中だからお金がないんだな!」という感じで非常にポジティブ。そういう価値観の環境でした。

そんな環境にいたものですから、牛丼だけの生活をしていても、もちろんきついはきついんですけど、あまり違和感がないというか、普通だよね、という感覚です。ちなみにそのあとエンジェル投資家やVCから資金調達できたので、今ではそんな生活をしているわけではもちろんありません(笑)。

ーー最後に、留学や起業、スタートアップに興味のある学生にメッセージをお願いします。

2つあります。まずはなんでも一番の環境にいることの重要性。すでに述べたように、スタンフォードは起業を考えるうえでは最高の環境です。また日本から留学しているメンバーや優秀な方は、やっぱり東大出身者が多いんですよね。東大という一番の環境にいれば、留学や起業というオプションも、珍しいものではなくて当たり前だと考えるようになるんじゃないかと思います。

起業である必要はありませんが、一番の環境にいることで、「自分の視座が上『が』ることは非常に『有益』です。

もうひとつは、リスクとリターンをしっかりと考えること。スタートアップといったって、起業したての会社と、Yahoo!とメルカリでは全然違います。自分が何をしたいのか、どんなリスクをとるべきなのかは人によって異なって当然です。

大企業が正解だった時代は終わって、個人がエンパワーされる時代に変わってきているじゃないですか。学歴や職歴でオーソライズされる時代ではなくなってきてますよね。そうすると自分ができることだったり、スキルが大事になってくる。

そう考えると大企業に入ることは逆にリスクかもしれません。大企業でもずっと同じ仕事をしていて、年齢の割に全然経験してないなんていうことは全然ありえるわけです。そういう意味ではもしかしたら、大企業にいるほうがリスクなのかもしれません。

逆にスタートアップだったら、1年後にどうなってるかわかりませんが、経営に近いところでいろいろ経験できて、スキルには困らないかもしれません。

正解というものはないですが、無思考にならずに自分の将来と向き合ってほしいですね。

(取材・文・編集)納富 隼平

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