創業メンバーになるか迷っている人へ。平社員で創業期にジョインするという選択

スペースマーケット 益戸

オフシーズンの球場から会議室、スタジオ、住宅、お寺までなど、あらゆるスペースを貸し借りできる Webプラットフォーム「スペースマーケット」を運営する、株式会社スペースマーケット
シェアリングエコノミーの波に乗って絶好調の同社だが、まだスペースマーケットという名前を誰も知らなかった時期に平社員として入社したのが、現在事業推進部マネージャーを務める益戸佑輔氏である。
平社員として創業メンバーに加わるとどのようなキャリアパスになるのか?益戸氏にお話を伺った。
*トップの写真は左から共同創業者の鈴木氏、益戸氏、代表の重松氏

プロフィール

株式会社スペースマーケット 事業推進部 マネージャー 益戸佑輔

大学卒業後トランスコスモス入社。金融業界の顧客を中心に、BPOを用いた業務コンサルティングや、電話、webによるマーケティング支援にて約30社の業務改善や売上拡大に貢献。
2014年1月よりスペースマーケット創業に関わり、第1号社員として入社。事業の基盤作りやアライアンス含めた事業開発、営業、採用など、ビジネス領域全般を担当。
現在は、プラットフォームの法人利用促進から、法人顧客向けイベントプロデュース事業、プラットフォーム連動マーケティングソリューション事業を推進をする、事業推進部 法人営業チームの責任者を務める。

スペースマーケット 益戸さん

1.スタートアップでのインターンを経験した学生時代

―益戸さんは新卒でトランスコスモスに入社されていますが、スタートアップに興味を持ったきっかけはいつだったのでしょうか?

大学3年生の夏に就職活動が終わっていて、就職までの間にスタートアップでインターンをしたのがきっかけですね。フォトクリエイトという会社で、友達に紹介されて面談に行って、ゴリゴリにお願いして採用してもらいました。

ただその時はスタートアップで働こうとか起業しようという考えは全然なくていわゆる普通の学生だったので、モチベーションは「せっかくのご縁だから、しっかりモノにして社会人経験を積もう」というものでした。結局1年間そこでインターンをしましたね。

―そのままフォトクリエイトに就職しようとは思わなかった?

次は内定が出ている大手に行くから、インターンはあくまでもスタートアップで学ぶ場として割り切ってとらえていました。

就職活動もスタートアップは内定が出るのが早いから一通り受けたけど、本命は大企業でしたね。なので、新卒では内定が出ていたトランスコスモスに入社しました。

2.トランスコスモス時代からスペースマーケットに入るまで

―トランスコスモスに入社してからはどんな仕事を担当されたんですか?

法人営業です。金融業界担当で、カード会社とか保険会社を担当してました。新規と既存、両方やってましたね。

IT系なので大企業の中では年功序列でもなく、好きなことができた方かと思います。当時の上司が今専務になっているんですが、元リクルートで営業が相当すごい人だったんですよ。その上司の下でめちゃめちゃ鍛えられました。

―環境はやはり守られていた?

給料とか保険とか、創業時のスタートアップと比べ守られている環境でした。ただトランスコスモスで営業トップになったりMVPを取れるようになってきた時に、このまま順調に成長していくとこういうタイプの役割になるんだな、っていうのが見えるようになってしまって。このままやってていいのかな?と思ったのが最初のきっかけでした。

そんな時に、当時の直属の上司が異業種に転職したんです。大手のコンサルティングファームだったんですけど。身近な人がそんな動きをしている中で、転職も含めて、自分の将来の選択肢を広く考えるようになっていきました。

3.スペースマーケットに入るきっかけ

スペースマーケット代表の重松は、スペースマーケット創業前にフォトクリエイトで新規事業開発を担当していました。重松とはその頃から交流があり、インターン終了後も定期的に連絡を取ってました。そんな中、フォトクリエイトが上場してすぐの時だったんですけど、たまたまFacebookで重松が、「フォトクリエイトを辞めて次は自分で何かをやる」って投稿していて。

会社の上場を経験したあと、この人は次に何をやるんだろうってとても興味がありました。それで、一度話を聞きに行ってみたんですよ。

その時に、日本の遊休資産の話とか、シェアリングエコノミーの話とかとにかく熱弁されて。社会性を考えて次はこの事業をやりたいんだって話を聞いて、面白いなって思いました。

スペースマーケット 益戸

(創業メンバー+当時のパートナーである UX デザイナー の迫田さん

―勧誘はされましたか?

されなかったです。でも、自分はその事業を単純に面白そうだなって思った。コンサルティングファームに入ってキャリアを積むのは自分でなくてもできるけど、遊休資産とシェアリングエコノミーを結び付けてスタートアップでやる、重松さんと一緒に、今このチャンスを掴めるのは自分しかいないと思ったんです。

キャリア設計の観点からもこっちで自分のキャリアを築いた方が良いと思いました。前職は支援会社としての仕事をやっていたのを、次は事業会社で自分の意志に従って仕事を進めてみたいと。

―その時に、転職するなら他の会社も見ようとは思わなかった?

思いませんでした。スタートアップというより、スペースマーケットと出会ってしまった。プロダクトも目論見書もないけど、ほぼアイディアだけの段階で飛び込むことを決めました。

でもすぐには入社せずに、しばらくは事業が面白そうだからボランティアで手伝いました。途中からスペースマーケットの名刺を持って重松と一緒に営業してましたね。

前職では絶対にできない、ゼロイチの過程が最高に楽しかった。前のめりで参画してました。

調達の話が固まった頃に、そろそろどうするかという話になり、スペースマーケットの社員になることを決めました。

―家族には反対されなかった?

少し前から重松と一緒に動いていて、という話はしていたので「あなたがやりたいようにやれば。止めてもどうせやるでしょ」と。いわゆる嫁ブロックはなかったですね。

4.スペースマーケットでの仕事

―スペースマーケットには役員でなく平社員として入社したんですね。

はい。平社員として入社しました。最初にやったのはレンタルスペースの開拓で、サービスローンチの時点では100スペースほどでしたね。重松がピッチイベントで登壇する一方で、自分はとにかくスペース開拓。古民家、ウェディング会場、球場、お寺など常識に囚われずにとにかく開拓しました。

契約書関連の知識も前職での経験が役に立ちました。前職を参考に契約書イチから作って。

スペースマーケット 益戸

(前職の後輩にもお手伝いをお願いして週末にスペース掲載作業

―じゃあ、入社してビジネスサイドは益戸さん1人?

1人でした。重松は資金調達とか外部との折衝、鈴木はシステム開発、自分はその他全部という分担で。今の部門で言うと総務、経理、営業、CS全部1人で。

営業に関しては最低限の情報共有はしたけど、基本的には自分で判断してやってましたね。契約関連は自分で解決できるけど、サービスの具体的な仕様に関してはまだ固まってないところも多かったので都度確認しながら話を進めました。

―そういう中での営業、辛かったこともあったのでは?

スペースを借りたい人(ゲスト)や貸したい人(ホスト)に具体的な仕様を話せないですからね。イメージを紙に落とした提案資料を見せて、「まだ完成していないのですが、このボタンを押すとこうなる予定です」という営業しかできないんですよ。

もちろん遊休資産の活用だから、スペースマーケットやると売り上げがでますよという話はするんだけど、まだ実績はないので、まずは信じてくださいっていう世界。世の中こういう風に変わっていくから、一緒にやりましょう!って。

―そんな営業をしながら契約回りとか全部自分でやって、抵抗はなかった?

前職のがアウトソーシングの会社だったので、営業回り、契約、法務などあらゆる知識がないとダメな会社だったんですね。そうした場所でやっていたからむしろ得意分野でもあって抵抗を感じることはありませんでした。

けど、スペース開拓の営業だけに集中していると新しい問題もやはり出てきて。WEBのマッチングだけでは借り手がほとんどいなくて、ほっとくと月間の売上が平気で数万円になっちゃうんですよ。どうしようもないので、「こういうスペースがありますよ」「社内イベントやりませんか」という借り手に対しての営業も始めました。人間マッチングみたいな感じで、アナログで。

ーアポはどのように取っていったんですか?

スペースマーケットの名前を出しても知られてないから、前職の顧客に営業をかけました。この人なら会ってくれそうだという人に話を聞いてもらって。意外とみんな会ってくれましたね。

それと逆で、スペース開拓の方は完全にテレアポです。リスト見ながら上からかけて、みたいな。相手もよく意味がわからないから、「何?シェアリングエコノミーって危なそう」でガチャ切りされたり。普通に話せるのは1日3、4件くらいのものでした。なので、外出中もリストは持っておいてスキマ時間に電話。

電話でOKが出て「ではwebで登録よろしくお願いします」と言っても、実際は登録してくれなかったので、メアドを教えてもらって、代わりにホスト登録して、承認のメールが行くので承認してくださいとか電話でずっとフォローして。面倒くさいとか使いづらいとか結構言われました。

悔しかったけど、開発がサービスの展開に追いついてないだけで、今に変わるから大丈夫だと思ってやってました。

ー営業をしていて印象深かった事例はありますか?

増上寺をオイシックスさんの14周年イベントで使用した時かな。オイシックスさんから14周年イベントにいい場所ないですかと相談されて、増上寺いいんじゃないかと思ったんですよ。つてを探したんだけど誰も紹介してくれなくて、じゃあ飛び込むぞ!と飛び込み営業を仕掛けたらなんと成功して。

懸念していた飲食もOKで、交渉成立してイベント開催に至りました。こうしてスペースマーケットの増上寺の事例ができ、これは今でも印象に残っている事例です。

増上寺での取り組みはその後も続き、スペースマーケットの自社イベント『KIGAN』(https://enterprise.spacemarket.com/kigan/) は、この事例自社でやったらもっと面白いんじゃない?というところから生まれたイベントです。

スペースマーケット イベント

(KIGANイベント)

ー営業はどれくらいの期間1人でやってたんですか?

期間にするとそれほど長くはないです。スペースマーケットに関わり始めて半年後には自分の次の社員が入っていて、だんだんと社員が増えていく中で自分の役割も変わっていきました。

ー学生が創業メンバーでジョインすることに関してどう思います?

創業期のスタートアップに平で入ること自体は、わりといいなと思ってます。経験がないなら尚更で、その時期ってスペシャリストじゃなくてゼネラリストが欲しいんですよ。どちらかというと地味で泥臭い仕事が多い。けどそのどれもが確実にやらなきゃいけないことなんです。だから、ニュースになるようなかっこいい仕事をイメージする人には合わないかもだけど、泥臭い仕事でもできる人にはよく合っていると思います。

ーリスクについてはどう考えていた?例えば1年経ってうまくいかなければ辞めるとか。

考えてなかった。このサービスをもっと広めて、上場させるまでは絶対に辞めないと。

潰れちゃったとしてもそれはそれでキャリアにプラスになると思っていたから。

例えばスタートアップで0からの立ち上げやって、ある程度の形にして、もしくはならなくて、会社潰れちゃいました。だとしても、こんな経験ができるなんて貴重ですよね。それをリスクとして捉えていたら怖くて何もできませんよ。リスクを考えちゃうなら行かないほうがいいです。会社の可能性を信じて、チャンスと思えないなら初期のスタートアップは行くべきでない。

初期のスタートアップは前例がないし、めちゃくちゃで、誰も教えてくれない、正解が分からない、市場からも認められない。あるのは想いだけですから。

他のスタートアップの社長も同じようなことを言っていますが、自分も本当にその通りだと思います。

ー学生から、なぜ無名な会社に入社したのですかと聞かれたら?

面白そうだったからです。それだけ。色々言うことはあるけど、結局はそれなんです。日本にまだない市場で自分が第一人者になれるチャンスだと思ったし、そのチャンスがたまたま重松と出会って巡ってきたと思ったのが大きかった。

創業期のスタートアップに行こうか迷っている方は、社長の話を聞いてピンとこなければやめておいた方がいいです。

まだ何もないところに行くんだから、ロジックで考える話ではないんですよね。結局は自分の意思だから。だから、そういう出会いがあって心を動かされたなら創業期のスタートアップに行くのは良い選択肢だと思いますよ。

ー赤裸々なお話、ありがとうございました。

 

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