「行動が私を強くした。」 起業を支える、留学中の孤独とチャレンジの経験

トビタテ!留学JAPAN 起業

Sucle(シュクレ)を運営する株式会社FinT(フィント)代表を務める大槻祐依さんは、たまたま受講した起業家養成講座のビジネスプランコンテストで優勝し、シリコンバレー研修や「トビタテ!留学Japan」でのシンガポール留学を経て、起業の道へ進んだ。その人生を決めたのは「留学中の孤独な時間に自分と向き合ったこと」だという。本当に自分のしたいことは何か、常に自問自答し行動し続ける大槻さんに話を伺った。

たまたま受講した起業家養成講座のビジコンで優勝。ビジネスの面白さに開眼

ーー大槻さんが留学に興味を持ったきっかけは、高校時代の出来事だそうですね。

はい、交換留学で来たオーストラリア人の女子を、実家で1ヶ月受け入れたことがきっかけです。両親がとてもアクティブな性格だったんですよね。とはいっても両親も私も英語は話せないので、コミュニケーションをとるのに試行錯誤。父なんてジェスチャーすら通じていませんでした(笑)。

日本でいい思い出を作ってほしくて、土日は必ず家族と彼女と一緒にさまざまなスポットに出かけました。すると彼女は、原宿や六本木の街並みからロリータファッションまで、いろいろなところに感動するんですよ。お菓子の開封部分についているマジックカットすら「すごい!」って。

そんな姿を見て、日本の良さや海外との違いに興味を持ち始め、いつしか留学してみたいと思うようになったんです。なので、留学しやすい大学を志望し、早稲田大学へ進学しました。

トビタテ!留学JAPAN 起業 大槻さん

 

 

ーー大学では起業をするきっかけにも出会ったそうですね。詳しく教えていただけますか?

大学1年生のときに、起業家養成講座という授業を受けました。その理由は、いわゆる「楽単」だったから(笑)。まず5回目の授業でビジネスプランを1つ提出します。次に提出されたプランの中から20組が選ばれて、皆の前でプレゼン。その中から自分の入りたいチームを選んで、翌週から2回目のプレゼン大会です。その中から10組、5組と勝ち上がっていき、最終的には私のチームが優勝しました。

最初にビジネスプランを提出した時点で単位はもらえるので、その後は出席しなくなる生徒が多いんです。しかし私は、勝ち上がっていく中でどんどん燃えていき、優勝までこぎつけました。結果的に楽単ではなかったですが、ビジネスや起業と初めて出会うきっかけになりましたね。ちなみに、この講座の優勝者は第1回が村上太一さん、第2回が与沢翼さん、そして第14回が私、です。

ーーそうそうたるメンバーですね! そのときのビジネスプランはどのような内容だったんですか?

日本に来た外国人に対して、日本人学生や留学生が日本の「体験」を提供するビジネスです。「Airbnbの体験版」と銘打ってプレゼンしていました。でも当時、AirbnbやUberがまだメジャーではない時代だったので、「Airbnbとは何か」から説明していましたね。プランをブラッシュアップしていく中でスタートアップの存在を知り、起業に興味を持つようになりました。

ーーその後教授に薦められて外部のビジネスプランコンテストに出場し、ここでも優勝したそうですね。

はい。他のチームは大の大人がチームを組んで出場していたんですが、私はひとりで出てしまって(笑)。ありがたいことに優勝できたので、シリコンバレー研修に連れていってもらいました。シリコンバレーでは多くの起業家の卵に会うことができましたね。

またその年、「Slush」というベンチャーの祭典が日本で開催されることを知り、ボランティアとして参加。初めてスタートアップの方々と関われました。しかもここで、密かに憧れていたEast Venturesの方に出会えたんです! 全力で自分をアピールした結果、East Venturesでアルバイトできました。この経験は貴重でしたね。

トビタテ 留学Japan! Sucle 大槻

 

シンガポール留学は苦難の連続。自分と向き合い進むべき道を発見

ーーここまでが大学1年での出来事。密度が濃いですね(笑)。このあと大学の「トビタテ!留学Japan」での交換留学を利用してシンガポールのNanyang(ナンヤン) Technological Universityへ留学したそうですが、なぜシンガポールにしたんですか?

理由は2つあって。ひとつは東南アジアのカルチャーや食事が好きだったこと。もうひとつは、どうせ留学するなら東大よりもレベルの高い大学に行きたかったこと。この2つを叶えてくれたのが、シンガポールにあるNanyang大学でした。早稲田とNanyangがMBA事業で協業していたのも面白いなと思いましたね。ビジコンの影響から起業に興味を持ったので、ナンヤンではビジネスを専攻しました。

ーー1年間の留学はどうでしたか? 楽しんでそうな印象ですが。

とても孤独でつらかったです!! 私ずっと実家暮らしで家族仲も良くて、1人でいるのが苦手なタイプなんですよ。学生寮でスペイン人とルームシェアしていたのですが、性格や生活リズムが合わなくて、次第にストレスが溜まっていきました。あと、留学先には日本人と馴れ合わないことを決めていて。だから友達ができるのに時間がかかりました。

でも留学で孤独や忍耐を体験して、自分と向き合う時間を持てたことは、結果的にはいい経験だったと思います。内省する時間が多かったことで、自分のことをたくさん知ることができました。あと多様性も体感できましたね。いろいろなタイプの人がいていいんだなと。

前半の1学期でほとんどの単位を取っていたので、後半の2学期はほとんど学校に行かずインターンをしていました。異例ですが、学生寮も出ちゃいました。今思うと、すごい行動力だったと思います(笑)。

ーーそれはすごい!どうしても環境を変えたかったんですね(笑)。

1学期が終わってから1ヶ月間バックパックしたんですが、そのときにふと「私勉強しに来たんじゃないな」と気づいたんです。だったら仕事をしようと思って。本当はシンガポールの都心で生活したかったのもあって、かかる家賃を計算して払える算段を立てて、自分で家を借りました。

自身が写っている「トビタテ! 留学Japan」のポスターと

 

インターン先も自分で探して、女性社長が1人で経営するスタートアップにネット専門職として入り、ECサイトを立ち上げました。実はネットに詳しくなかったので、作業にとても時間がかかって、社長にたくさん責められてつらかったですね…。でもインターンのおかげで、ECサイトが実際に利用される場面に立ち会ったり、マレーシアに出張したりできました。

Nanyangで勉強しているときよりも、実際にビジネスに関わっていったことで、どんどん元気になっていきました。起業って、つらいこともあるじゃないですか。スタッフにも「よく耐えられるね」と言われます。シンガポールで揉まれたことが、私の強さの源ですね。

起業は突然に。スタートアップとの出会いが人生を決めた

ーー帰国後は、スタートアップ「Candle」で1年弱過ごしたのち、大学3年生で「FinT」を起業。どのような経緯で起業されたんですか?

Candleにはインターンとして入ったんですが、就活も平行して行っていました。Candleにいた他のインターンは起業志向だったので、就活していたのは私だけ(笑)。密かに「Candleか、どこかの大企業に就職しよう」と目論んでいました。

 

ところが、就活中にCandleがバイアウト(企業売却)に成功したんです。起業志望だった人たちは皆抜けて、それぞれ起業していきました。では自分はどうするか? 内省していて思い出したことがあって、それはEast Venturesにいた時期に出会った女性起業家に言われた「今ここ(East Ventures)にいるということは、将来的に起業するということよ」という言葉。

実はその言葉を聞いたときに宣言していたんです。将来的にタイミングが来たら起業しようって。「今がそのタイミングなんだな」と悟りました。当時大学3年生だったので、大学卒業してから起業しようと思って両親に相談したら、新卒チケットのあるうちに休学して起業したら? と言ってくれました。冷静な判断ですよね(笑)。

ーーそして学生起業に至ったんですね。今はどのような事業を行っているんですか?

 

最初はメディア運営に力を入れていたんですが、今はInstagramの運用代行が主力です。インスタのフォロワー数は12万人を突破しました。それから、ファッションブランドも作る予定で、現在企画中です。この3月に大学を卒業し、代官山にオフィスを移転したんですよ! ここからがんばろうって思っています。

フォロワー12万人(取材時)突破したsucleのscuInstagram

 

View this post on Instagram

 

Sucle(シュクレ)さん(@sucle_)がシェアした投稿

ーーここからの活躍が期待できますね! そんな大槻さんに学生からの質問なのですが、留学や起業にリスクを感じたときに、どう乗り越えたらいいのでしょうか?

自分がなりたい姿になるために何をしたらいいのか、とことん内省したり人にアドバイスをもらったりして明確化したらいいと思います。そしてその将来から逆算して、留学や起業をすべきだな、と。

会社に1年在籍すれば、その先はかなりよく見えると思います。だから大学にいる間に、興味のある会社の人に会って話を聞いておくんです。実際に入社してから方向転換するのは、とても大変だと思うので。それから、自分の好きなことが明確な人は、女性よりも男性に多い印象があります。好きなことが見つからない女性は、「好きじゃないこと」をたくさん見つけるといいんじゃないかと思います。

ーーなるほど。大学生のうちからできることはたくさんありますね。

もっと行動して、もっと自分について考えた方がいいと思います。大学生のうちからインターンやボランティアに参加して、その結果スタートアップの人々に出会えたことが、私の将来を決めました。

積極的になれないなという人は、留学に行ってほしい。留学して外国人と一緒にいるとオープンな性格になりやすいので、何か新しいことにも挑戦しやすいと思います。アクティブになれる環境、オススメです。

 

ーー本日はありがとうございました!

(文)金指 歩

(取材・編集)納富 隼平

RECOMMEND

PICKUP

SCROLL TO TOP